

2011-11-11 ![]()
アホウドリというと何を思い浮かべるでしょうか。グライダーのような翼を広げると2メートル以上にもなる大きな鳥。人間を警戒することがなく、簡単につかまってしまう「阿呆な鳥」。ゴルフをやる方なら、「アルバトロス」という英語名で知っているという人も多いでしょう。
でも、私たちはアホウドリのことを本当はあまり知らないのかもしれません。
今回の特集「優雅なる空の王者アホウドリ」を取材するため、筆者の海洋生態学者カール・サフィナは、世界中のアホウドリの生息地を訪れました。南緯50度を超える英領フォークランド諸島のスティープルジェイソン島。絶海の孤島のこの島に、アホウドリの繁殖地があります。高緯度のこの地は、人も住まず、秒速20メートル以上の台風並みの暴風が吹き荒れる場所ですが、アホウドリは平然として過ごしています。
実はアホウドリが陸上にいることはほとんどありません。生まれてしばらくすると、海の上で暮らすようになり、繁殖のためだけに陸地にやってきます。とても長生きな鳥で、寿命は20年以上、長命なアホウドリは50歳にもなります。雄と雌がつがいになる際にも、じっくりと時間をかけ、求愛期間は2年に及ぶことも。一度つがいになると生涯をともに過ごし、離れることはありません。産む卵も一つだけで、一年かけてヒナを育てていきます。人間以上に愛情に満ちた鳥なのかもしれません。